2006年07月09日

蠅。

さっきから私の周りを飛び回っている。
羽音が耳障りで落ち着きなく、私の神経を逆なでする。

私のこの腐った肉を狙っているんだろう。
爛れて黒くなったこの肉を。

縫った部分を引きちぎって曝しだすと、
蠅は何度も頭の上で旋回した。

私は傷口に指を差し入れ、何度もかき混ぜた。
血が飛び傷口の周りを少しずつ赤くする。
膿の臭いがする。

黄色っぽく濁った膿と血が混ざって異臭がする。
蠅はやっと私の腕の先に止まった。
手で頭を撫で、神経質な動きで傷口へ寄り付く。

食事をしながら卵を植えつけるつもりなんだろう。
私の中からこの蠅との子供が生まれるんだろう。
私の肉を食い私の血をすすり、大きくなるのだろう。

だが私は爛れた肉にありつこうとした蠅を叩き潰した。
ぶちゅっと小さな音がすると、
手のひらには黒っぽい小さな塊と、
その塊からはみ出た薄黄緑の液体。


私は黙ってそれを傷口に押し当て、また縫い合わせた。
その内もっと酷く腐りはて嫌でも虫が沸くだろう。

愛などありはしない。
そこにあるのは欲だけ。

私は嘲笑気味に部屋の中を見渡すと、ゆっくりと瞼を落とし、
眠りについた。
posted by ユーキ at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 黄昏 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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